2011年3月27日日曜日

ジェネリック医薬品の開発①。

ジェネリック医薬品について思うことはありますか?これから圧倒的普及することが見込まれるジェネリック医薬品について開発の立場から少しばかり書いてみたいと思います。大真面目に書いているので、少しでも日本のジェネリック医薬品に対する理解が深まってもらえたらと思います。

今回はまず、ジェネリック医薬品そのものについて紹介します。

ジェネリック医薬品は、ブランド医薬品(先発製剤)の特許が満了した時点より発売が可能となる、安価な医薬品のことです。ジェネリック医薬品は、高くても先発製剤より30%以上安いことが制度として決まっています。先発製剤が100円だったら、ジェネリック医薬品は70円以下で必ず買うことが出来ます。この薬の「30%引き」、という点が、患者さんにとってメリットになります。

となると、ユーザーとしては「3割引きで品質は全く問題ないのか」、ということが気になると思います。

一般的には、特許が切れることによって該当物質を自由に使うことが出来るため、医薬品の開発費用がほとんど必要ないから、と説明されることが多いように思います。確かに、先発製剤を開発するためには2010年時点で500~1000億円程度必要というデータがあるわけですからそれらの費用がかからないことは安くなる原因となるように思われます。

ボクの考えは違います。

「安く出来る」のではなく「安いもの」と決まっているというだけなのです。医薬品業界はPESTといったマクロ環境においてはPolitics(政府・規制)をもろに受ける業界であり、ジェネリック医薬品も3割引以上しか認めないと決められているからジェネリック医薬品企業はその価格にせざるを得ないのです。

つまり、先発医薬品どうしの比較では、全く同じ成分はほぼないわけですから、医薬品の選択は有効性などの科学的根拠に起因することとなります。ここでの意思決定機関(DMU)は「医師」となります。ところが、一旦ジェネリック医薬品が発売されると、医師は、ジェネリックor NOTを決めるだけで、実際の医薬品の製造元を決定するのは薬剤師となります。そうなると、DMUは「医師→薬剤師」の2段構えに変化するのです。そして意思決定事由も、科学的根拠→経済的根拠に変遷していくのです。

例えば、医師が高血圧の薬剤を処方使用とする場合、科学的根拠としてCaブロッカーがいい場合は、アムロジン、ARB(アンジオテンシン受容体ブロッカー)がいい場合はディオバンが選ばれるとします。次に医師が薬剤師に対してジェネリック医薬品に変更がダメなら処方箋に「ハンコ」を押す必要があります。薬剤師はジェネリック医薬品に変更可能な処方箋に対して、その薬局で採用したジェネリック医薬品(例えばアムロジピンベシル酸塩「サワイ」)を渡すことになります。

薬局の採用事由としては、ジェネリック医薬品の薬価ではなく、医薬品の品質・薬局への納入価格の2つが大部分を占めていますが、そのあたりは長くなるのでまた次回に回したいと思います。

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