2012年12月30日日曜日

はじまりの一年の終了。

ベトナムにお歳暮のような風習があるみたいで、各取引先がカレンダーと一緒に持ってきてくれたりしますが、仲秋の餅ほど盛大ではなく、懇意なところは(なりたいところは)という感じでしょうか。

事務所に4部屋しかないにも関わらず、各取引先の方々からありがたいことにカレンダーを頂くので、すっかり30を超える数がたまってしまいました。でも4部屋しかないのも今のうちで、来年の今頃には絵屋の数は30を超え割と所帯が大きくなっているはずです。スタッフの数もまだ少なくこじんまりと準備してきておりますが、来年は準備運動を終えて長いマラソンのスタート地点に立つことになります。

管理側としては、これから所帯が大きくなってもスマートに回せるように本質を見極め進めていきたいところですが、言葉の壁、行政の壁、文化の壁など様々なハードルがあります(ま、そんなんどこでも同じ)。しかしそのハードルの全てが自分の糧となることは間違いないことであると思います。

医薬品の世界戦略がベトナムから始まることになりますが、自分個人の世界戦略としても同じくココから始まります。今年は節目の30歳となり、責任・白髪・ストレスも少しずつ増えw、仕事もだんだんと面白くなってきました。30歳-40歳の未来予想としては、35歳までにベトナム工場を離れ、シンガポールに移動。製剤・技術・生産・管理の経験をベースに営業寄りの仕事がしたいなぁと思うこの頃です。反面、革新はなはだしい研究分野ではキャッチアップ出来ていないので皆さんとお話ししながらアップデートできればと思います。

工場PJは今年から始まりましたが、プロジェクト自体は30年後、自分が60歳の時も依然として稼働している予定です。過去を語って偉そうにするのはキライですが、もしすべてが順調に行ったならば、また、見に来たいなぁとしみじみ感じています(←まだ始まってないのにネ)

さて、そんな中でも何がプライオリティがというのは、生きる上できっちりと持っておく必要があります。先日Youtubeで見た大学の講義が文字化されているものがあったのでお時間ある方はどうぞ。

要は、ポリタンクに何かを詰める場合、でっかい石(大事なもの;家族)から順に詰めていかないといけない、ということ。砂(大事でないもの)を最初に入れてしまうと、それだけでいっぱいになり、あとから大事なものを入れるスペースがなくなる、ということです。

でも!ユーモアとして、そんな満タンのポリタンクでも、いつでもビールを注げば入るんだよ(友人と飲む機会はあるんだ!)という質問への回答で締めくくられていました。

家族の存在をありがたいと思う共に、気軽に飲んでくれる友人にも感謝ですね。

さて、来年はもう少し薬寄り・具体的な話題も増えるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

2012年12月22日土曜日

今週はインド。

NAMASTE!インドからこんばんわ。
日本では3連休、という話ですが、月曜日から出張を入れて12連勤の筆者です。ベトナム工場を構築するための調達先を探すってことでインドに来ております。今回は4日間で5都市を回るというかなりタイトなスケジュールだったため、ほとんどインドに来たような間隔はありませんが、それも今日でとりあえずひと段落。

一般的な話として、医薬品の製造装置や設備を購入する際に、まず最初に考えるのが設備自体の品質と仕様です。3極対応とかそういう仕様にする場合は、どこかにコンサルを入れてURS(User Specification requirement)を作成し、その通りに製造メーカーに作ってもらうことが必要(仕様にあう既存品があればそれでもOK)。日本のメーカーのものはもちろん製造品質であるとか、素材の品質はいいものもあるけれど仕様という点でグローバルになっていないモデルもある。インド製でグローバルな仕様だけれど、日本人から見ると品質が悪い(仕上げが汚い)部分がある。でもGMPの観点からみると、仕様がやはり大切で細かい点で美しいか、というところは本質としては関係ない。もちろん設備としての見栄えは優れるのだろうけど、それでコスト高になるのも全体としてはどうなのかと思う。

製造装置、特に注射剤のものに関しては、インドやベトナムのローカル企業であっても、それなりの企業はドイツの装置を使っていることが多い。いまだ信頼性は圧倒的に高い。中国や台湾、インド製の充填機もあるけれど、クリティカルな部分として製造装置の性能はまだ本家には到達していないですね。
その反面、パーティションや空調などの工場付帯設備に関しては、比較的品質も向上してきてて、台湾や中国、韓国などのメーカーもいい仕上げのものを製造するようになってきていると思う。

高品質、というのは我々日系メーカーとして譲れない点があるので、それを低価格でやるにはどうするか、というのが人件費、材料費、建築費、輸送費、などなど総合的に展開していく必要があるが、一つ一つクリアすれば決してできないことはない。

また、製剤コストの数10%を占める原薬の一般的な話としては、日本の品質(結晶系・類縁物質・色・粒子径など)を達成するには新興国で作る場合でも余計な手間がかかってしまい、めちゃくちゃコスト安にはならないという現実がある。(製薬業界も日本品質はやはりガラパゴス)たとえばアメリカの場合は、結晶系は関係ないから、それに対する特許回避なんかする必要ないし、それだけでだいぶ手間が減る。

前にも書いたように、日本人はハードにしてもソフトにしてもどんな場合にも対応できるようにいろいろと詰め込みすぎる傾向にあると思うので、ルールに従って優先順位をつけていく、そして作る、という方法を選べばおそらく問題はないんだろうけど。製造に関しては来年から勉強していくつもりなのでどうぞよろしく。同時に調達やSOPにも噛んでいきたいですねぇ。

余談ですが、インド最大のLCCは「SpiceJet」というなんとも辛そうな名前です。日本でやるならSashimiJet、韓国ならKimchiJet、ってとこでしょうかね。

2012年12月10日月曜日

医薬品・医療機器について考えた一週間。

今週はIGPA(International Generic Pharmaceutical Alliance)など医薬品関連のイベントが多々あり、医薬品・医療機器・それら産業について考えてみた1週間でありました。

IGPAにて感じたのは、毎年のことながらジェネリック医薬品へのシフト加速。巨大製薬市場アメリカ、においては医薬品の売上数量の8割がジェネリック医薬品。だけれども売上金額の8割は新薬市場。この影響力はデカイ。年間の薬剤費が30兆円として、24兆円が新薬、6兆円がジェネリック医薬品。たった2割の売り上げシェアか、と思うなかれ。日本の薬剤費は9兆円なので、その市場は並ではなく、その6兆円市場がストリートファイト的に激戦を繰り広げています。

IMS社、アランシェパード氏の講演では、日本においては、近年になればなるほどジェネリック医薬品の発売から浸透するまでの期間が短くなってきているとの報告。氏のスピーチでは触れなかったですが、そのシェアはせいぜい15%止まり、というところはまた別の話。これは一定数量はジェネリック医薬品に変更可能な医者がいるものの、それ以外はジェネリック変更不可の医者が多いということを示唆しています。ただしその提供データも2011年までなので、2012年の一般名処方がまた新しいムーブメントを起こしていることも確かでしょう。

インドに製造拠点がある企業のうち、日本に製剤輸出を目論んでいるのが、第一三共(参加のランバクシー)、エーザイ(アリセプトの製造移管)、共和薬品(親会社ルピン)などなど。すでにインドから日本に輸入しているのはジェネリック医薬品のザイダスファーマ。

インドなどの新興国で製造する場合、その国内に販売しようとするなら、GMP基準も比較的ハードルが低く、製造コストを抑えられますが、日本みたいにアホほど品質を高めようとすると原薬の選定、製剤設計などを追加で実施する必要があり、必然的にコストアップは生じます(インドの流通ロットとは製法・品質を変えざるを得ない)。そこが新興国に拠点を持つ企業が意外と成功しない理由の一つであると思います。でも、上記の企業はいずれも経口製剤(飲み薬)の製品群を有する企業であり、注射剤で新興国製造、というのはあまり耳にしません。

最近動いた例とすれば、富士製薬のOLIC社買収だろうか。日本における長期収載品、ジェネリック医薬品のコスト競争が激しくなるものの、早めに海外生産品に対するアレルギーをなくしていかなければ生き残る道はないんでしょうね。

週の後半は新薬や再生医療に近しい分野の方々と。こちらはいろいろと耳よりな情報もあったものの潜伏、ということで。自分としてはいいニュースリリースを聞けることを願うばかり。

2012年12月1日土曜日

ベトナム製スーツ。

会社、アオザイ、と続きましたので、自分用のスーツの話をば。ベトナムハノイにTailortさんという日本人オーナーのテーラーがあり、日本人の中で少し話題になっていたので、早速作りにいってみました。

もともとベトナムは縫製国家というだけありいたるところにテーラーがありはするのですが、なかなか細かいところまでお願いすることができず、頼んではみたものの。。。という結果が多いという話も聞くのでチャレンジはできませんでした。

ということで、早速結果報告です。結論的にいうと、値段相応かな、という感想です。ただ、このクオリティをベトナムで出すには苦労がかなりあるのでは、とは思いますが、ちょっと辛口コメントです。今回は生地は持ち込み。Reid & Tailorのウーステッドs’120のものです。

お願いした仕立てとしては、
・ブリティッシュベース
・チェンジポケットをジャケット、パンツともに
・チェンジポケットの位置を下げる。
・Dカン止め
・バーティカルポケット
・貝ボタン
くらいですかね。
お台場仕立て、本切羽、ポケットやラペルのピックステッチはデフォです。冬物生地を背抜きにしましたが、裏地を使ってきれいにパイピング仕立てにしてくれてなかなかいい出来上がりです。
細め、股上浅めのイマドキのラインです。仕立てたばかりのときはかなりタイトだったので、2cmほど出してもらいました。表には出ませんが、芯は接着芯を使用。さすがに毛芯ではないんですね。日本の安めの仕立ても接着芯なのでこれは特に気にしなくてもいいでしょう。
実際ベトナムではあまりスーツを着ることはないのですが、日本はもう冬、ということですので、来週からの帰国時に早速着てみたいと思います。

ちなみに仕立て代は基本料金で1万2千円。裏地やボタン、ポケットのデザインを変えて、トータル1万9千円くらいです。ご参考まで。