2014年2月23日日曜日

図書館戦争を読んだ。

第1巻から第4巻の革命まで、面白すぎて一気に読んでしまった。

もちろん非日常のシチュエーションではあるけれども、その物語を通じて放たれるものは非常に多かったのではないかと思う。そもそもベタ甘な恋愛小説、こういった清々しくももどかしいストーリーというのは非常に好きなもので(似合わないって言わないでねw)。

さて、登場人物を通じての視点が繰り広げられる、という点はその他の小説とも同様なのだけれども、その機微によりいっそう踏み込んでいる点が感動というか、自分が如何に未熟であるかを感じまして。てか、手塚と柴原と小牧はあんなに人の思考の流れを読んで行動、発言をしてるけど、これって普通なんですかね!?自分だと絶対無理と思うので、そういう表面上には出ない知的闘争が描かれていて面白い。人が殴り合っているのは見ればわかるけれど、そういうのって見る人が見ないとわからないものですからね。だからこれを舞台化するってのは非常にチャレンジングな取り組みだと思う。

最も深かったのは、善意の押し付けをとりあげたところ。近年の確信犯的な、動物愛護を掲げた食品販売制限であったり、「明日、ママがいない」の奥底に存在している、孤児は可哀想、ハンディキャップを持った人々は可哀想だから助けなければばらない、というような固定観念化した善意を取り扱っている。悪意よりも善意の方が取扱いに困る、というもの。また、リアル社会においてもマスコミへの違和感が増えているように思いますが、それをフィクションで問いかけるという取り組みは非常にスバラシイものなのでしょう。きっと活字に起こして出版する過程でもかなり悶着があったのではないかと推測します。

文庫本を読むにあたっては、児玉さんとの対談があって、それも非常に面白かった。
最も興味深かったのは、「作家は知っていることを全部書いてはいけない」、というくだり。自分が知っていることを9割捨てて、1割で書き切る、という非常に高度なことをしているんだと。
本、という媒体で不特定多数の人々に文章を届けるもので、熱心な読者に対しては、「ここまでしか書いてないけれど、愛読者のあなたはちゃんと本質を理解してるよね」と問いかけたり、ビギナーには「とっつきやすくて面白い物語でしょう」みたな、抗菌剤で言えばブロードスペクトラムな作品なんだと感じました。

小難しい話を書いてみたけど、郁と同じくキャラ読みする自分は、筋を全然覚えられないので困ったものです。それも本の楽しみ方の一つでしょうけど。

おすすめの1冊(4冊)です(←今さら)。読んでない人はぜひ。

0 件のコメント: