経営者についての再考after野中郁次郎の講演
野中が考える衆智経営はすごく腑に落ちるが、世界的なトレンドとしてはまだまだアングロサクソン的経営が中心で、とくに韓国・中国はその傾向を引き継いでいるという話があるそう。
その場合、「経営層」と「現場」は全く切り離されていて、そのため、トラブルが起こった場合その改善が全くなされないということを、東京の方にある電力会社の例を見れば明らか、という話を聞いた。それとリンクして、ボクが「MBAに行くことも考えたが、まずは現場でやっている仕事をする必要があるから今年、MBAに行くのはあきらめた」というと、MBAクラスに通っている友人が、「MBAに行って、改めて実務やらなきゃ」と感じたという感想を得た。MBAはもちろん、アングロサクソン的な文化であって、「経営層」と「現場」が切り離されているからこそ行われる授業であって、何かしらの実務を極めたヒトが経営者になる日本的経営にはそぐわない。そういう人たちにとって、実務が分かる必要は必ずしもないのだと思う。
日本の会社やAppleはそうではなくて、技術者から上ってきた経営者が現場を見て、感じて、実際に会社を経営することで、あらゆる事が改善が出来るという点で大きな違いがある。本田・日本電産などにおいては、社長を筆頭に現場主導で行われてきた。
ボクが思うに、「経営者が何らかの実務・最先端を理解できる会社」は強いのではないか。創業者の時代はすべて何かしらの最先端・最前線にいるから出来るが、世代交代とすると、なかなか持続しない。そこを乗り越えることに、会社の生き残りの鍵があるのか。
製薬会社で見ると、ボクが成功していると見る企業の一つにノバルティスがあり、ついこないだまでCEOをダニエルバセラがやっていた。彼は医師であり・MRであり、自身の力でトップになった。そういう点で、いろいろな多国籍企業のヘッドをやった経営者がいきなり製薬企業のヘッドになった会社とは経営思想が異なるのは必然だろう。
日本の製薬会社で、理系出身の社長がやっている会社は苦戦しているという統計があったが、これは社長の思想が最先端ではなく、過去の知識にとらわれ、判断を誤るということがあったのでは、という仮説を立ててみる。一方、文系社長がうまくいっている、というのは、文系の社長には科学技術は分からないから、技術者がやっている最先端のことに対して、とにかくGOを出したことで、うまくいっているんじゃないかなんて考えてみる。
つらつら書いたけれども最終的には、「Common Good」とか「Virtue」に向かう必要がある、という点で、最近よく思う、ブレない価値観を持つ、人はどう生きるかと考えるということが必要だと思うと同時に、こんな日本で感じることなんて世界から見ればちっぽけで、たいしたことではないと客観的に捉えることも必要ね。
2011年6月27日月曜日
2011年4月4日月曜日
ジェネリック医薬品の開発③.
ジェネリック医薬品のコストを考え始めたら、製剤の特徴の話になってしまったので、まず開発行為について考えてみようと思います。
まず、ジェネリック医薬品開発の特徴について考えてみます。ジェネリック医薬品は基本的にお手本(先発製剤)があるので、基本的にコピーすることは可能です。
ただし、ジェネリック医薬品を発売するタイミング(物質特許or効能特許が満了)では、製剤特許や製法特許が残っている場合があります。その場合ジェネリック医薬品メーカーは、それらの特許を避けて製剤を作ることになります。そうなると、ファーストジェネリックを目指して無理して開発するため性能が落ちるなんて可能性もあります。
いかに開発するか、つまり製剤設計がコストに与える影響は製造プロセスの効率化を行うよりも大きいと考えます。製剤を開発する場合、最初に行うことが物質特許以外の特許の有無です。
例えば、A製剤の製法特許として、撹拌造粒法、流動層造粒法がある場合、ジェネリックメーカーとしては、直接打錠法しか選択肢がなくなります。コスト面で考えると、直接打錠法は混ぜるだけなので非常に楽チンかつ低コストなのですが、造粒をしないということは原薬のロット間バラつきに受ける影響が大であるため、原薬メーカーに粒度の指定をする必要があります。造粒をしないということはまた、ヒトの手が加わる部分が少ないため、スケールアップをしてうまくいかない場合、手を加えることが出来るパラメーターが非常に少ないということが問題として挙げられます。造粒する場合、製造条件にある程度幅を持たせることが出来るので、流動層造粒であれば風量を変えたり温度を変えたり、撹拌造粒なら回転数を変えたり、ということが出来、スケールアップがしやすいものなのです。ビスホスホネート製剤がこういう事例にあたりますね。
次にやることは先発製剤の分析です。先発製剤の添加物としてどんな成分が使用されているかは、インタビューフォームを見れば分かるため、どんなものを使おうかという大体の予測が出来ます。例えば、ノバルティスファーマのディオバンだと「ディオバン錠 40mg、ディオバン錠 80mg、ディオバン錠 160mg:添加物として8成分を含有する。ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース、無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン」との記載があります。この処方を見たとき、錠剤の設計を行っている人であれば、核錠は、主薬、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースで造粒して、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを混合して打錠して、そのあとフィルムコーティングかな、ということが分かります。
ここでジェネリック企業が考えることとして、2つの方向性があります。
・先発製剤のコピーとして設計する
・自社の製剤技術を活かして、先発製剤にない製剤として設計する
よく聞く話として、先発製剤と処方(添加物成分)が同じでないと血中濃度が変わるから効き目が異なる、がありますが、製造側から考えると全く同じ成分を使っていても製造方法如何で血中濃度が変わるので、あんまりアテになりません。しかし、実際に判断の基準となるのは、インタビューフォームに記載されている(文字として識別される)処方となるため、薬剤師の判断としてそれを根拠にするのも仕方ないことかとも思います。
ボクが開発をしていた当時は先発製剤のコピーが受けたように思いますが、最近の営業の話を聞いていると、コピーよりも高付加価値化されたものの方が受けがよいという話も聞きます。まだ、どっちがmajorityということでもないんでしょうかね。
ちょっと長くなったので小休止。次は共同開発について考えます。
まず、ジェネリック医薬品開発の特徴について考えてみます。ジェネリック医薬品は基本的にお手本(先発製剤)があるので、基本的にコピーすることは可能です。
ただし、ジェネリック医薬品を発売するタイミング(物質特許or効能特許が満了)では、製剤特許や製法特許が残っている場合があります。その場合ジェネリック医薬品メーカーは、それらの特許を避けて製剤を作ることになります。そうなると、ファーストジェネリックを目指して無理して開発するため性能が落ちるなんて可能性もあります。
いかに開発するか、つまり製剤設計がコストに与える影響は製造プロセスの効率化を行うよりも大きいと考えます。製剤を開発する場合、最初に行うことが物質特許以外の特許の有無です。
例えば、A製剤の製法特許として、撹拌造粒法、流動層造粒法がある場合、ジェネリックメーカーとしては、直接打錠法しか選択肢がなくなります。コスト面で考えると、直接打錠法は混ぜるだけなので非常に楽チンかつ低コストなのですが、造粒をしないということは原薬のロット間バラつきに受ける影響が大であるため、原薬メーカーに粒度の指定をする必要があります。造粒をしないということはまた、ヒトの手が加わる部分が少ないため、スケールアップをしてうまくいかない場合、手を加えることが出来るパラメーターが非常に少ないということが問題として挙げられます。造粒する場合、製造条件にある程度幅を持たせることが出来るので、流動層造粒であれば風量を変えたり温度を変えたり、撹拌造粒なら回転数を変えたり、ということが出来、スケールアップがしやすいものなのです。ビスホスホネート製剤がこういう事例にあたりますね。
次にやることは先発製剤の分析です。先発製剤の添加物としてどんな成分が使用されているかは、インタビューフォームを見れば分かるため、どんなものを使おうかという大体の予測が出来ます。例えば、ノバルティスファーマのディオバンだと「ディオバン錠 40mg、ディオバン錠 80mg、ディオバン錠 160mg:添加物として8成分を含有する。ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース、無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン」との記載があります。この処方を見たとき、錠剤の設計を行っている人であれば、核錠は、主薬、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースで造粒して、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを混合して打錠して、そのあとフィルムコーティングかな、ということが分かります。
ここでジェネリック企業が考えることとして、2つの方向性があります。
・先発製剤のコピーとして設計する
・自社の製剤技術を活かして、先発製剤にない製剤として設計する
よく聞く話として、先発製剤と処方(添加物成分)が同じでないと血中濃度が変わるから効き目が異なる、がありますが、製造側から考えると全く同じ成分を使っていても製造方法如何で血中濃度が変わるので、あんまりアテになりません。しかし、実際に判断の基準となるのは、インタビューフォームに記載されている(文字として識別される)処方となるため、薬剤師の判断としてそれを根拠にするのも仕方ないことかとも思います。
ボクが開発をしていた当時は先発製剤のコピーが受けたように思いますが、最近の営業の話を聞いていると、コピーよりも高付加価値化されたものの方が受けがよいという話も聞きます。まだ、どっちがmajorityということでもないんでしょうかね。
ちょっと長くなったので小休止。次は共同開発について考えます。
2011年3月31日木曜日
ジェネリック医薬品の開発②。
ジェネリック医薬品は本当に安く作ることが出来るのか、ということについて考えてみたいと思います。製造、の問題なので、基本的にはスケールメリットの話になるでしょうか。
ところで2010年度から数量ベースで一定の割合を超えると薬局の診療報酬が上乗せされるという制度が始まりました。この制度で得をするのは基本的に調剤薬局ということになります。注射剤は対象外ですし、DPC(診断群分類包括評価:Diagnosis Procedure Combination)病院なんかはそもそもまるめなので替えられるものはすでに替えているという状況もあると思います。薬局が販売に力を入れるのは外来患者さんなので、処方される薬も飲み薬(経口剤)が主流となるわけです。
という背景から、経口剤について考えてみましょう。
経口剤の種類は、大きく5つあります。
①素錠(普通錠・OD錠)
②フィルムコーティング(FC)錠
③糖衣錠
④散剤(ドライシロップ)
⑤フィルム製剤
最近の剤形を見ると、多いのは素錠とフィルムコーティング錠でしょうか。
一昔前は、臭いや苦味、光による劣化を防ぐために糖衣が用いられていました。糖衣は、「正露丸糖衣A錠」や「アリナミン」などのビタミン製剤に多く使用されていますが、作業が煩雑であることや錠剤の大きさが増すことから医療用医薬品にはあまり使われていません。
フィルムコーティングは、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)などのセルロース誘導体を使用して、非常に薄い膜を錠剤にコーティングする技術で、コーティング時間も短く済み、容易に安定化された錠剤を製造することが出来ます。余談ですが、このヒプロメロースの供給は信越化学工業が独占しているため、工場爆発事故なんかのときには医薬品製造現場は供給不安でいっぱいだったことを覚えています。
話を剤形に戻します。一昔前は特許戦略として、先発メーカーが普通錠にOD錠を追加するということが多々ありました(最近でもあります)が、現在は薬剤師の判断によりOD錠の処方をジェネリック医薬品の普通錠を処方することも出来るよう制度が変更されため、患者さんにメリットがなければこの戦略は意味を成さなくなっていると思います。ガスターは特許戦略としてガスターD錠を発売し、売上を普通錠からOD錠にシフトし価値の最大化を図りましたが、最近発売されたアクトスODなんかは、どれだけ売上増に答えられるかは未知数です。薬剤師が先発製剤の剤形を変更可能ということは、小手先の剤形変更による価値の最大化は今後のLCM戦略として向かないということになっています。
反面、この制度はジェネリック企業にとっては差別化のために大いに意味があります。というのは、ジェネリック医薬品企業が先発製剤と異なる剤形を開発することが可能となるからです。最近の例で有名なのは、アムロジピンODフィルム「興和テバ」(先発名:アムロジン)とプランルカスト「EK」(先発名:オノン)でしょうか。
前者は、ブレスケアなんかに使われているフィルム技術を救急薬品工業と提携し医薬品に仕立て上げたものです。もちろん、ブレスケアみたいな包装にすることは出来ませんから、一枚ずつ取り出せるような工夫が必要となりますが、患者さんのQOLを考えると売れるかは別としていい製剤だと思います。後者は、これまでカプセルやドライシロップしかなかった製剤を錠剤にした、ただそれだけですが、こちらは一包化(することはないかもしれませんが)しやすいといった薬剤師がわのメリットがあるでしょうか。ジェネリック医薬品企業にとっては、製造コストが下がるというメリットもあるでしょう。
このように、真似することが可能な製剤技術は制度的にも先発メーカーではなく後発メーカーに有利になっており、今後は剤形ではなく、薬の効き目などの科学的根拠で差別化する必要がありますね(クラビットがいい例でしょう)
長くなりましたので製造コストと開発戦略について次回書くことにします。
ところで2010年度から数量ベースで一定の割合を超えると薬局の診療報酬が上乗せされるという制度が始まりました。この制度で得をするのは基本的に調剤薬局ということになります。注射剤は対象外ですし、DPC(診断群分類包括評価:Diagnosis Procedure Combination)病院なんかはそもそもまるめなので替えられるものはすでに替えているという状況もあると思います。薬局が販売に力を入れるのは外来患者さんなので、処方される薬も飲み薬(経口剤)が主流となるわけです。
という背景から、経口剤について考えてみましょう。
経口剤の種類は、大きく5つあります。
①素錠(普通錠・OD錠)
②フィルムコーティング(FC)錠
③糖衣錠
④散剤(ドライシロップ)
⑤フィルム製剤
最近の剤形を見ると、多いのは素錠とフィルムコーティング錠でしょうか。
一昔前は、臭いや苦味、光による劣化を防ぐために糖衣が用いられていました。糖衣は、「正露丸糖衣A錠」や「アリナミン」などのビタミン製剤に多く使用されていますが、作業が煩雑であることや錠剤の大きさが増すことから医療用医薬品にはあまり使われていません。
フィルムコーティングは、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)などのセルロース誘導体を使用して、非常に薄い膜を錠剤にコーティングする技術で、コーティング時間も短く済み、容易に安定化された錠剤を製造することが出来ます。余談ですが、このヒプロメロースの供給は信越化学工業が独占しているため、工場爆発事故なんかのときには医薬品製造現場は供給不安でいっぱいだったことを覚えています。
話を剤形に戻します。一昔前は特許戦略として、先発メーカーが普通錠にOD錠を追加するということが多々ありました(最近でもあります)が、現在は薬剤師の判断によりOD錠の処方をジェネリック医薬品の普通錠を処方することも出来るよう制度が変更されため、患者さんにメリットがなければこの戦略は意味を成さなくなっていると思います。ガスターは特許戦略としてガスターD錠を発売し、売上を普通錠からOD錠にシフトし価値の最大化を図りましたが、最近発売されたアクトスODなんかは、どれだけ売上増に答えられるかは未知数です。薬剤師が先発製剤の剤形を変更可能ということは、小手先の剤形変更による価値の最大化は今後のLCM戦略として向かないということになっています。
反面、この制度はジェネリック企業にとっては差別化のために大いに意味があります。というのは、ジェネリック医薬品企業が先発製剤と異なる剤形を開発することが可能となるからです。最近の例で有名なのは、アムロジピンODフィルム「興和テバ」(先発名:アムロジン)とプランルカスト「EK」(先発名:オノン)でしょうか。
前者は、ブレスケアなんかに使われているフィルム技術を救急薬品工業と提携し医薬品に仕立て上げたものです。もちろん、ブレスケアみたいな包装にすることは出来ませんから、一枚ずつ取り出せるような工夫が必要となりますが、患者さんのQOLを考えると売れるかは別としていい製剤だと思います。後者は、これまでカプセルやドライシロップしかなかった製剤を錠剤にした、ただそれだけですが、こちらは一包化(することはないかもしれませんが)しやすいといった薬剤師がわのメリットがあるでしょうか。ジェネリック医薬品企業にとっては、製造コストが下がるというメリットもあるでしょう。
このように、真似することが可能な製剤技術は制度的にも先発メーカーではなく後発メーカーに有利になっており、今後は剤形ではなく、薬の効き目などの科学的根拠で差別化する必要がありますね(クラビットがいい例でしょう)
長くなりましたので製造コストと開発戦略について次回書くことにします。
2011年3月27日日曜日
ジェネリック医薬品の開発①。
ジェネリック医薬品について思うことはありますか?これから圧倒的普及することが見込まれるジェネリック医薬品について開発の立場から少しばかり書いてみたいと思います。大真面目に書いているので、少しでも日本のジェネリック医薬品に対する理解が深まってもらえたらと思います。
今回はまず、ジェネリック医薬品そのものについて紹介します。
ジェネリック医薬品は、ブランド医薬品(先発製剤)の特許が満了した時点より発売が可能となる、安価な医薬品のことです。ジェネリック医薬品は、高くても先発製剤より30%以上安いことが制度として決まっています。先発製剤が100円だったら、ジェネリック医薬品は70円以下で必ず買うことが出来ます。この薬の「30%引き」、という点が、患者さんにとってメリットになります。
となると、ユーザーとしては「3割引きで品質は全く問題ないのか」、ということが気になると思います。
一般的には、特許が切れることによって該当物質を自由に使うことが出来るため、医薬品の開発費用がほとんど必要ないから、と説明されることが多いように思います。確かに、先発製剤を開発するためには2010年時点で500~1000億円程度必要というデータがあるわけですからそれらの費用がかからないことは安くなる原因となるように思われます。
ボクの考えは違います。
「安く出来る」のではなく「安いもの」と決まっているというだけなのです。医薬品業界はPESTといったマクロ環境においてはPolitics(政府・規制)をもろに受ける業界であり、ジェネリック医薬品も3割引以上しか認めないと決められているからジェネリック医薬品企業はその価格にせざるを得ないのです。
つまり、先発医薬品どうしの比較では、全く同じ成分はほぼないわけですから、医薬品の選択は有効性などの科学的根拠に起因することとなります。ここでの意思決定機関(DMU)は「医師」となります。ところが、一旦ジェネリック医薬品が発売されると、医師は、ジェネリックor NOTを決めるだけで、実際の医薬品の製造元を決定するのは薬剤師となります。そうなると、DMUは「医師→薬剤師」の2段構えに変化するのです。そして意思決定事由も、科学的根拠→経済的根拠に変遷していくのです。
例えば、医師が高血圧の薬剤を処方使用とする場合、科学的根拠としてCaブロッカーがいい場合は、アムロジン、ARB(アンジオテンシン受容体ブロッカー)がいい場合はディオバンが選ばれるとします。次に医師が薬剤師に対してジェネリック医薬品に変更がダメなら処方箋に「ハンコ」を押す必要があります。薬剤師はジェネリック医薬品に変更可能な処方箋に対して、その薬局で採用したジェネリック医薬品(例えばアムロジピンベシル酸塩「サワイ」)を渡すことになります。
薬局の採用事由としては、ジェネリック医薬品の薬価ではなく、医薬品の品質・薬局への納入価格の2つが大部分を占めていますが、そのあたりは長くなるのでまた次回に回したいと思います。
今回はまず、ジェネリック医薬品そのものについて紹介します。
ジェネリック医薬品は、ブランド医薬品(先発製剤)の特許が満了した時点より発売が可能となる、安価な医薬品のことです。ジェネリック医薬品は、高くても先発製剤より30%以上安いことが制度として決まっています。先発製剤が100円だったら、ジェネリック医薬品は70円以下で必ず買うことが出来ます。この薬の「30%引き」、という点が、患者さんにとってメリットになります。
となると、ユーザーとしては「3割引きで品質は全く問題ないのか」、ということが気になると思います。
一般的には、特許が切れることによって該当物質を自由に使うことが出来るため、医薬品の開発費用がほとんど必要ないから、と説明されることが多いように思います。確かに、先発製剤を開発するためには2010年時点で500~1000億円程度必要というデータがあるわけですからそれらの費用がかからないことは安くなる原因となるように思われます。
ボクの考えは違います。
「安く出来る」のではなく「安いもの」と決まっているというだけなのです。医薬品業界はPESTといったマクロ環境においてはPolitics(政府・規制)をもろに受ける業界であり、ジェネリック医薬品も3割引以上しか認めないと決められているからジェネリック医薬品企業はその価格にせざるを得ないのです。
つまり、先発医薬品どうしの比較では、全く同じ成分はほぼないわけですから、医薬品の選択は有効性などの科学的根拠に起因することとなります。ここでの意思決定機関(DMU)は「医師」となります。ところが、一旦ジェネリック医薬品が発売されると、医師は、ジェネリックor NOTを決めるだけで、実際の医薬品の製造元を決定するのは薬剤師となります。そうなると、DMUは「医師→薬剤師」の2段構えに変化するのです。そして意思決定事由も、科学的根拠→経済的根拠に変遷していくのです。
例えば、医師が高血圧の薬剤を処方使用とする場合、科学的根拠としてCaブロッカーがいい場合は、アムロジン、ARB(アンジオテンシン受容体ブロッカー)がいい場合はディオバンが選ばれるとします。次に医師が薬剤師に対してジェネリック医薬品に変更がダメなら処方箋に「ハンコ」を押す必要があります。薬剤師はジェネリック医薬品に変更可能な処方箋に対して、その薬局で採用したジェネリック医薬品(例えばアムロジピンベシル酸塩「サワイ」)を渡すことになります。
薬局の採用事由としては、ジェネリック医薬品の薬価ではなく、医薬品の品質・薬局への納入価格の2つが大部分を占めていますが、そのあたりは長くなるのでまた次回に回したいと思います。
2011年2月11日金曜日
GE薬の流れを経営する。
未来創造という意味では只今の思考を将来の布石にするという意味ではあるが、漢字の「戦略」から推して知るべし、戦を略す、つまり頭を使って戦のない世界を作ろう、というブルーオーシャンの考えだ。
ジェネリック医薬品業界を見渡したときに現在の多数の会社による販売は競争原理という観点からはよいが、産業的にはストレスがかかっているように感じる。そうなった場合、ジェネリック医薬品市場でM&Aが起こる、なんてコトは考えられるが、そうはならず、先発系企業の独占となることが推察される。
そうなった場合、単なるジェネリック医薬品企業は、高薬価品に関してはCMOという製造受託への側面が強くなり、低薬価品に関しては供給義務があるため自分たちで売る、というジリ貧になるかもしれない。そうなるまえに、販売ブランドと供給チャネルを確保する必要がある。
調剤薬局のジェネリック医薬品使用促進が始まって、市場の供給問題が生まれてきた。共同開発が認められた現在、例えば30社発売している医薬品の供給元が2社、という事がある。その場合、仮に後発品シェアが30%あるとする。先発市場が3億錠だとすると、1億錠の供給をCMO2社で、しかもスモールロットで行う必要がある。そうなると、CMO的なジェネリック医薬品企業の製造部門はてんてこ舞いになってしまう。加えてスモールロットでの生産では、経済的に効率が悪い。
沢井はGEトップ企業でありながら、ファイザーや第一三共が参入してくる今後の市場を危惧し、キョーリンに買収提案をしたと考えられる。ジェネリック使用促進だ、と喜んでいると、痛い目を見るのは中堅企業である。市場は今、動いている。
ただ、そういう儲かる、儲からない、という話はあくまで企業側の話であって、最終的にはどれだけ社会的なベネフィットを生み出したか、というところに企業の意義がある。
そういう点では、外国から輸入したGEを圧倒的に低価格で販売する、ということをやってみたい気はする。
ジェネリック医薬品業界を見渡したときに現在の多数の会社による販売は競争原理という観点からはよいが、産業的にはストレスがかかっているように感じる。そうなった場合、ジェネリック医薬品市場でM&Aが起こる、なんてコトは考えられるが、そうはならず、先発系企業の独占となることが推察される。
そうなった場合、単なるジェネリック医薬品企業は、高薬価品に関してはCMOという製造受託への側面が強くなり、低薬価品に関しては供給義務があるため自分たちで売る、というジリ貧になるかもしれない。そうなるまえに、販売ブランドと供給チャネルを確保する必要がある。
調剤薬局のジェネリック医薬品使用促進が始まって、市場の供給問題が生まれてきた。共同開発が認められた現在、例えば30社発売している医薬品の供給元が2社、という事がある。その場合、仮に後発品シェアが30%あるとする。先発市場が3億錠だとすると、1億錠の供給をCMO2社で、しかもスモールロットで行う必要がある。そうなると、CMO的なジェネリック医薬品企業の製造部門はてんてこ舞いになってしまう。加えてスモールロットでの生産では、経済的に効率が悪い。
沢井はGEトップ企業でありながら、ファイザーや第一三共が参入してくる今後の市場を危惧し、キョーリンに買収提案をしたと考えられる。ジェネリック使用促進だ、と喜んでいると、痛い目を見るのは中堅企業である。市場は今、動いている。
ただ、そういう儲かる、儲からない、という話はあくまで企業側の話であって、最終的にはどれだけ社会的なベネフィットを生み出したか、というところに企業の意義がある。
そういう点では、外国から輸入したGEを圧倒的に低価格で販売する、ということをやってみたい気はする。
2011年2月10日木曜日
沢井のキャッシュフロー。
今日の再考。
某沢井製薬の第三四半期決算を見ると、
当期経常利益が100億円を超えていた。
それは、うちの親会社を凌駕する額なので、
まさしく驚愕の事実。
しかし、そうそう喜んでばかりいられない、
ということがキャッシュフローから分かる。
(と、上司に教えてもらった)
売上高が、前年度よりも100億円増加、
経常利益も40億円増加。
だけど、キャッシュフローは20億円マイナス。
財務活動によるキャッシュフローは恐ろしくプラス。
これの意味するところは、
・売上が増加して棚卸し資産が増加した。
・減価償却は増えてないから既存設備の稼働率が高まった
つまち、作れば作るだけ利益が出る。
・新株予約権付き社債として発行した300億円が手つかず。
・キョーリンの株を5%くらい買ったから
投資活動によるキャッシュフローはマイナス。
既存設備の稼働率が高まるのはいいことだけれども、
それは今年が限界で、来年度以降は新たな設備投資が必要となる。
新株予約権付き社債をキョーリンの買収資金として調達したのは
いいものの、話がご破算になって、手元でダブついている、
というのが今の状況。300億円って、年利3%としても9億円の
利息が発生するから、沢井といえども楽ではないはず。
この状況をどうするのか、沢井の会長の判断に興味津々。
・
某沢井製薬の第三四半期決算を見ると、
当期経常利益が100億円を超えていた。
それは、うちの親会社を凌駕する額なので、
まさしく驚愕の事実。
しかし、そうそう喜んでばかりいられない、
ということがキャッシュフローから分かる。
(と、上司に教えてもらった)
売上高が、前年度よりも100億円増加、
経常利益も40億円増加。
だけど、キャッシュフローは20億円マイナス。
財務活動によるキャッシュフローは恐ろしくプラス。
これの意味するところは、
・売上が増加して棚卸し資産が増加した。
・減価償却は増えてないから既存設備の稼働率が高まった
つまち、作れば作るだけ利益が出る。
・新株予約権付き社債として発行した300億円が手つかず。
・キョーリンの株を5%くらい買ったから
投資活動によるキャッシュフローはマイナス。
既存設備の稼働率が高まるのはいいことだけれども、
それは今年が限界で、来年度以降は新たな設備投資が必要となる。
新株予約権付き社債をキョーリンの買収資金として調達したのは
いいものの、話がご破算になって、手元でダブついている、
というのが今の状況。300億円って、年利3%としても9億円の
利息が発生するから、沢井といえども楽ではないはず。
この状況をどうするのか、沢井の会長の判断に興味津々。
・
2010年11月14日日曜日
リーダーの育成。
こないだバイエル薬品のfast trackプログラムの話を聞いた。
リーダー不足が嘆かれる近年、各社人材確保に必死みたいですね。
http://bit.ly/9f7KlS
以前役員に話を聞いたときは、各役員直轄でFast track人員を
持っていたみたいだけれど、これからは組織立ててやっていくみたい。
単純計算で、1人をある程度育てるのに、
労務費1000万円×5年+MBA学費500万円=5500万円/人
で、仮に20人いるとしたら11億円の費用が発生する。
これから毎年このプログラムを実施するなら、11億円/人の新規予算が必要。
うーむ、すごい。金持ちだ。
ただ、それだけ金をかけるほど、今後企業が滅びる危機感を持っている
ということの裏返しでもある。
そして、このプログラムのいいところは、最初にMBAではなくて、
2年間の実務経験が得られるということが大きい。
初めに実践を通しておかないと、習うことに感じる意味が大きく異なる。
また、MBAだったらどこでもいいって訳じゃなくて、
外国のMBAを取得出来るということもいいんだろうな。
三品和広が言うように、一昔前なら誰も見向きのしなかった
大学の文系校舎に通っても意味がない、ということ。
また、学生時点で優れた人材を集めて、まず2年間実務でふるいにかけて
次にMBA2年間ふるいにかけるという、競争理論を持ってくるという点よい。
ということを踏まえて、ここ2ヶ月は経営論から外れて実務に打ち込んでいたので、
久しぶりに経営について思いを巡らせてみようかと思う。
最近勢いのあるソフトバンクにせよ、GEにせよ、
素晴らしいのは経営者である、ということは譲れないと思う。
会社は人であり、経営者も人である。
要は、どれだけトップが愛社精神を持って方向を決定して行動し、それに
どれだけ社員がついてくることが必要。
そしてトップの思考が世間のニーズと合致していることが必要でもある。
COOに詳しいことは任せたらいいという考え方をよく聞くが、あくまでCEOが
決め、COOはそれを執行することを仕事とすることが本分だと考える。
だからいかに優れたCEOを育てるか、が大切なんですよね。
ラムチャランが言うには、徒弟制度が大事であるということで、
そういう意味では、まとまったプログラムではなくて以前の役員直轄型
Fast track制度がよかったのかもしれないと、ふと思う。
アングロサクソン的なMBAが疑問視されている不確実な現代だが、
定量的分析的なMBA集団が勝るのか、自分の腕一本で戦ってきた
経験者が勝るのか、ケースバイケースだが行く末を見るのは実に面白い。
僕としては、MBAの理論を体得した経験者が最もCEOとしては優れてると思う。
ま、このMBAブームも10年後の2020年までにはなんらかの結果が物語ってくれるでしょうね。
仮に今は業績がよくても、継続的に反映することが企業の社会的使命ですし。
リーダー不足が嘆かれる近年、各社人材確保に必死みたいですね。
http://bit.ly/9f7KlS
以前役員に話を聞いたときは、各役員直轄でFast track人員を
持っていたみたいだけれど、これからは組織立ててやっていくみたい。
単純計算で、1人をある程度育てるのに、
労務費1000万円×5年+MBA学費500万円=5500万円/人
で、仮に20人いるとしたら11億円の費用が発生する。
これから毎年このプログラムを実施するなら、11億円/人の新規予算が必要。
うーむ、すごい。金持ちだ。
ただ、それだけ金をかけるほど、今後企業が滅びる危機感を持っている
ということの裏返しでもある。
そして、このプログラムのいいところは、最初にMBAではなくて、
2年間の実務経験が得られるということが大きい。
初めに実践を通しておかないと、習うことに感じる意味が大きく異なる。
また、MBAだったらどこでもいいって訳じゃなくて、
外国のMBAを取得出来るということもいいんだろうな。
三品和広が言うように、一昔前なら誰も見向きのしなかった
大学の文系校舎に通っても意味がない、ということ。
また、学生時点で優れた人材を集めて、まず2年間実務でふるいにかけて
次にMBA2年間ふるいにかけるという、競争理論を持ってくるという点よい。
ということを踏まえて、ここ2ヶ月は経営論から外れて実務に打ち込んでいたので、
久しぶりに経営について思いを巡らせてみようかと思う。
最近勢いのあるソフトバンクにせよ、GEにせよ、
素晴らしいのは経営者である、ということは譲れないと思う。
会社は人であり、経営者も人である。
要は、どれだけトップが愛社精神を持って方向を決定して行動し、それに
どれだけ社員がついてくることが必要。
そしてトップの思考が世間のニーズと合致していることが必要でもある。
COOに詳しいことは任せたらいいという考え方をよく聞くが、あくまでCEOが
決め、COOはそれを執行することを仕事とすることが本分だと考える。
だからいかに優れたCEOを育てるか、が大切なんですよね。
ラムチャランが言うには、徒弟制度が大事であるということで、
そういう意味では、まとまったプログラムではなくて以前の役員直轄型
Fast track制度がよかったのかもしれないと、ふと思う。
アングロサクソン的なMBAが疑問視されている不確実な現代だが、
定量的分析的なMBA集団が勝るのか、自分の腕一本で戦ってきた
経験者が勝るのか、ケースバイケースだが行く末を見るのは実に面白い。
僕としては、MBAの理論を体得した経験者が最もCEOとしては優れてると思う。
ま、このMBAブームも10年後の2020年までにはなんらかの結果が物語ってくれるでしょうね。
仮に今は業績がよくても、継続的に反映することが企業の社会的使命ですし。
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