2009年7月5日日曜日
シッコ。
日本人にとっては少し不快に聞こえるようなことばですが、
アメリカのドキュメンタリー映画のタイトルです。
"Sicko"
です。
そもそもこのような映画が成り立つのは、アメリカ国民が保険制度に対して不満があるからだと思います。
この映画では、アメリカの医療制度のあり方について撮られています。
アメリカの医療制度は日本のそれとは異なり、公的保険と民間の保険会社が混合している状況。
「日本の制度」
日本の場合は、政府管掌健康保険などの被雇用者保険や国民健康保険に入っておくと、病院に行ったときにその2~3割の金額負担で済むという制度がある。そして、自分が選択して入る保険としては、死亡保険や傷害保険などの生保会社のものがある。
日本の保険制度は優れていると評価される反面、医療費の増大によって国庫の圧迫なども叫ばれるようになっています。数年前くらいから病院の費用圧縮のため、DPC(Diagnosis, Procedure, Combination:診断群分類別包括制度;疾病の内容により金額の上限が決まるため、病院はその金額に収まるような医療をする必要がある)が始まり、最近ではジェネリック医薬品へのスイッチの推進力になっています。
「アメリカの制度」
アメリカでも90年代までは日本のような方法が一般的だったようですが、医療費が膨大になり、DPCのような管理型の医療が今では中心となっているようです。アメリカではそもそも保険機関が日本のような公的なものだけでなく民間のものがあり、なんでもかんでも病院にかかって医療費が増大するようでは民間の保険会社の存続が危ぶまれる可能性もあります。
従って、HMO(Health Management Organization)と呼ばれる民間の保険会社はその名のとおり、マネージメント、すなわち管理をする機関であるために、自社との契約のある病院・さらにはその病院の○○医師に診察された場合のみにお金が支払われるという、被保険者にとっては不便極まりない制度となっています。そのあたりの利便性は、保険料や診療費用を積み増せば改善されるようですが、一般の人にとっては無理な話なんでしょう。
そして、民間の営利目的の保険会社にとっては、患者の医療費負担はそのまま会社からのお金の流出を意味するわけです。だから会社を黒字化するために、出来るだけ最もらしい言い訳を言って、患者に診療費を払わない社員が最も優れていると評価される、まったく被保険者のことを考えない制度となっているのです。
アメリカで、特許切れの翌日からジェネリック医薬品が浸透するのは、営利の保険会社がコストを圧縮するため、という理由が分かれば「なるほど」と感じると思います。日本の場合は、健康保険はあくまで「国」の管轄なので、そのような意識が薄くなるのは仕方ありません。ただ、日本でもDPCのような動きがあることも確かですし、日本の一国民としては、景気対策にばら撒くのも結構ですが、削れるところから積極的に削っていきましょうよ、思うわけです。
ま、自分が新薬メーカーにいたらそんなことも思わないだろけど、ジェネリック業界にいるから、ということで書いてみました。
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2 件のコメント:
結局、ジェネリックって患者さんじゃなくて国の負担を減らすことが一番の目的なんですよね。
また、薬によってはジェネリックでも良いモノもあるんでしょうけど、効果は全く同じではないし、特に抗がん剤などでは中々使われていないですね。(日本では)
まあ、国からのメーカー・医療機関への圧力はますます強くなっていくでしょうけど。
そうだねぇ、ジェネリックの目的はなんだかんだいって国の負担軽減だと思うよ。
ジェネリックの品質に関しては一概には言うことは出来ないけど、ガイドラインによってだいぶ先発と近くなってはいるけどね。その一方で、先発にも粗悪な品質のやつもあるのも確かだよ。
まぁ、今のところは注射剤なら抗菌剤とかがメインで抗がん剤はこれからってとこだろうね。
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